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2020/02/15

ブログの更新

ブログを更新しました。

Mt. Robson

上の写真は、ロブソン山です。

カナディアン・ロッキーの最高峰です。

その高さは3954ｍです。

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　この家は、細田守監督によるアニメ映画「おおかみこどもの雨と雪」の舞台となった家です。東京から越してきた母親の花が、二人の子供とこの家で暮らすことになりました。二人の子供のうち、娘の雨は人間として生きるようになり、上市の小学校に入学、学校や友人との生活を楽しんでいました。ところが息子の雪は、次第におおかみの本性を発揮し、山の中を駆けずりまわり、最後は称名滝の崖の上で、オオカミとしてまさに、大きく遠吠えをしていました。あの場面は、涙が出るほど感動的でした。

チベット高原から見たチョモランマ（エベレスト山）

　多くの場合エベレスト山というと、ネパール側つまりヒマラヤ山脈の南側から見たものが多い。

ところがこの写真は、チベット高原のかなたにそびえるエベレスト山（現地語でチョモランマ）を

北側から見たものである。エベレスト山は、ひときわ周辺の山々を高く抜いて、崇高な山容をみせている。

　この写真は、南側すなわちネパール側から見たヒマラヤ山脈である。左端にそそりたつ高峰が

サガルマータ、すなわちエベレスト山である。日を受けて美しく輝くヒマラヤ、これも荘厳な光景だ。

中国と北朝鮮の間にある長白山の天池

この静かな湖は、中国と北朝鮮の国境にある天池である。直径約４ｋｍ、長白山（白頭山）の山頂にある巨大な火口湖で、朝鮮民族の聖地とされるところである。

　この日、天気晴朗、静かな湖面が美しい。ここは、金正日出生の地とも言われるが、定かではない。この写真の正面、湖の対岸

が北朝鮮になる。

「長白山天池」　中国領側に建てられた標識である。

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カムチャッカ半島は美しいところだ

　この山は、カムチャッカ半島の中央部にそそり立つトルバチク山（海抜3682ｍ）。1975～76に大爆発を起こし、周辺一帯を死の世界へと変えてしまった。あれから40年以上経った今日、周辺一帯はいまもまだ自然の回復は進んでおらず、広い地域が赤褐色の火山礫や溶岩に覆われている。だが、カムチャッカ半島は、本当に自然の美しいところである。またいたるところに温泉が湧きだしていて、日本人の感覚からすると、本当に好きになれるところである。

左の写真は、ペトロパブロフスク・カムチャッツキー湾である。ダケカンバの森のかなたにそびえる山はビリュチンスキー山（海抜2173ｍ）である。カムチャッカ半島には、こうした富士山そっくりの山が到るところにある。心なごむ美しい景色が展開するカムチャッカ半島だ。

　この山は、カムチャッカ半島の東側、太平洋に臨むアバチンスキー山。海抜2471ｍ。山頂には雪をいただき、今は静かに休んでいる。だが、いつまた荒れ狂うか分からない典型的な休火山だ。だが、なんとも美しい山容である。

　カムチャッカ半島の東、太平洋に臨む砂丘を一面に覆って発達しているハマニンニクの群落。北海道の海岸にもハマニンニクの群落がよく見られるが、それとまったく同じような群落だ。

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　　動物の臓器

　私たちの身体は、さまざまな臓器から作られている。脳神経系あり、心臓あり、肺臓あり、腎臓あり、胆のうあり、胃腸あり、卵巣あり、子宮あり、睾丸あり・・・。もちろんすべての臓器は、いずれも人体にとって必要不可欠なもので、どれ一つ欠いても正常に生きていけない。しかしいま、動物の進化発達という点から人体を見たとき、基本的に最も大切な臓器はどれであろうか。それは口から胃腸、肛門に到る、すなわち消化器官である。

　動物にとって最も重要な働きは、外部から栄養（有機物質）を取りこんでそれを消化吸収し、エネルギー源として、あるいは自分の体を構築する材料として使うことである。植物と違って、自分で有機物質を合成できない動物は、生きていくためには外部から出来合いの有機物質を取りこんで、それを利用するしか生きていけない。取りこんだ有機物質を分解してエネルギーを得、あるいは体を作る材料としてそれを使う。

太古の昔、地球上に初めて現れた生物は植物ではなく動物的な生物だったと考えられている。その太古の生物は、おそらく自然状態で作られた有機物を体に取り入れて利用していたのであろう。単細胞生物だった時代には、細胞自体が外から有機物質を取りこんで細胞内で分解して利用していたのであろう。だが、やがて細胞どうしがくっつきあって多細胞の動物が現れると、餌を取るために体の中に大きな袋状の空間ができ、そこに外部から食べ物を取り込み、それを細胞内に取り込んで消化し吸収し、不要になったものを外に捨て去る形となった。いわゆる腔腸動物の消化腔がその例で、最も原初的な消化器である。

　やがてその空洞は細長い管となり体を縦貫するように発達した。その管は両端が体の外に開いていた。その一方の端はもっぱら体外からものを取り込み、もう一方の端は管の中のものを吐き出す働きをしていた。すなわち消化管である。外部から食べものを取り込む端が口となり、取り入れたものが消化管を通過しながら消化酵素によって分解され、体に必要な物だけが管の壁を通して吸収され、不要になった残り物はもう一方の端から外に捨てられた。このとき食べ物をモグモグと取り込む端が口となり、不要になった物をピシャピシャと吐き捨てる側の端が肛門となった。このように、原始的な多細胞動物の臓器の中で最初に形成された器官が消化管なのである。極論すれば動物は、消化管さえあれば生きていけると言っても良い。

もともとは、消化管さえあれば生きていける動物だったのだが、その後、消化管を中心に、そのまわりにさまざまな細胞がくっつきながら増殖し、またその置かれた場によって細胞は、いろいろな働きをするように分化した。そんなわけで動物は、進化の過程を通じて次第に複雑な構造を発達させ、それにともなってさまざまな臓器が発達した。しかし、それらさまざまな臓器の中でも、ある意味、最も根本的かつ重要な器官は、いうまでもなく口に始まり肛門に終わる消化管といってよいだろう。消化管は、取り込まれた巨大な物質、複雑な有機化合物を細かく分解して必要なものだけを選んで吸収し、動物の生存を支えるという、凄わざを持っている。消化管こそが動物の根源となる器官だ。その消化管をベースにしながら、進化の過程の中で私たち人間を含む動物の体の中には、さまざまな臓器が作られ発達してきたのである。

　最近、私は人を見ると、口と肛門を結ぶ消化管をその人の姿に重ね、思い浮かべてしまう。そうか、この人もそこに消化管があって、ものを食べては消化吸収し排出しているのだと、モグモグ、ピシャピシャ、動物の基本的機能としての働きを、その人の体に想像してしまうのである。

カナダの西海岸に連なる海岸山脈

　雪をいただく秀麗な山なみが連なる海岸山脈。山のいただき一帯には氷河が発達している。　山腹の森を構成する樹木は、ほとんどがミヤマツガである。

近づいてみると、山腹からは氷河が流れ下り、山麓の氷河の消えた新しい大地には、さまざまな植物が侵入して、植生の遷移が始まっている。

山腹から山麓にかけて流れ下る氷河。

だが温暖化のもとで氷河は末端から

急速に消失しており、その後には氷河が運んできた瓦礫（堆石）が置き残されている。

氷河の上を歩いてみると、いたるところにクレバスという氷河の割れ目がある。それとなく覗いてみると、クレバスの底には激しく水が流れている。うっかり足を滑らせて、クレバスに落ちたら、すべての終わり。絶対にクレバスには近づくな、足を滑らせるな、と厳しく注意された。

　私の理想の死に方は、極北の氷河を歩きながら、足を滑らせてクレバスに転落し、巨大な氷河に閉じ込められたまま五千年ほど後に、氷河の末端から発見され、そうか五千年前の人間はこんな恰好をしていたのだと、研究材料として使われることだ。

外来生物

最近、日本でもさまざまな外来生物が侵入し、各地に広まって問題を起こしている。動物では、たとえばアライグマやタイワンザル、キョンなど、植物ではオオハンゴンソウやセイタカアワダチソウなど、挙げればきりがない。これら外来生物が侵入し増殖することによって、もともとそこに古くから生きていた在来生物が、生活の場を奪われるなど、たいへんな被害、迷惑をこうむっている。そのため最近では、外来生物をどう駆除するかということが大きな課題になっている。

　それは分からないでもない。ところが、である。地球上で最大規模で広がった外来生物とはいったい何者であろうか。それは、実はほかならぬ私たち人間なのである。人間こそ、かつてアフリカ中部に現れた類人猿の一種が、あるときシナイ半島を渡ってユーラシア大陸へ拡散し、さらに東西方向へ広がり、ユーラシア大陸の低中緯度地域に棲みつきながら、さらに居住域を広げ、今では地球全域に棲みつき、個体数も76億匹にも達している。そればかりか人間こそが、これまでに地球規模で環境を改変し、多くの野生生物を絶滅に追いやっているのである。

　さまざまな、いわゆる外来生物が存在するが、これほど地球陸域全域に広がった生物は、眼に見える大形動物では他には例を見ないのではないだろうか。じっさい人類は、熱帯雨林はいうまでもなく、北極域にも砂漠のような極度な乾燥地域にも棲息しているし、若干の特殊性はあるとしても、

南極大陸にも人は生活しているのである。

　そのような人類の生活圏の広がりをみると、他の動植物が新しい地域に入り込んできたとして、なぜそう大騒ぎをするのだろう。これこそまさに人間の思い上がりか、身勝手な自己保身にすぎないのではないだろうか。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（2018年7月２５日）

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レーニア山　（アメリカ、ワシントン州、4392m ）

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人類は30世紀を迎えられるだろうか

　今からおよそ30万年前、アフリカ中部に出現したヒト (Homo sapiens) は、その後、世界中に広がり、次第に個体数を増やし、高度に進化した脳機能を用いて独自の技術や文化を発達させながら、いまや完全に地球を制覇している。ヒトの個体数は、まもなく８０億にもなろうとしている。

　だが、人類はいったい、いつまで地球の覇者でいられるのだろうか。すべての生物がそうであるよう、極度に進化した生物は、いつかは終焉を迎える時がくる。ここまで絶頂を極め繁栄したヒトは、果たして30世紀を迎えられるのだろうか。私は最近、遠からぬ将来、人類は絶滅するのではないかと感じている。ここに、人類が終焉する五つのシナリオを考えてみた。順次、紹介したい。

人類が滅びる五つのシナリオ

Ｉ．　気候温暖化による環境悪化

Ⅱ．　化学物質による環境汚染

Ⅲ．　生殖意欲の減退

Ⅳ．　人工知能（ＡＩ）による支配

Ｖ．　巨大隕石の衝突

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ロシア、カムチャッカ半島の太平洋沿岸にそびえるアバチンスキー山

シナリオＩ．　気候温暖化による環境悪化

　このところ毎年猛暑に悩まされるように、近年、地球の気温が上昇している。

気候温暖化である。気候温暖化は、地球環境問題の最大規模の問題として、また解決の最も難しい問題として知られている。その主たる原因は、18世紀の産業革命以来、人間がエネルギー源として石炭、石油、天然ガスと言った化石燃料を使用するようになったことである。その結果、大量のエネルギーを得て人類の文明は進歩し、私たちは豊かで快適な生活を楽しめるようになった。

ところが化石燃料を燃やすと必然的に二酸化炭素が発生する。それが、大気中に貯まり、大気の二酸化炭素濃度が近年、急速に上がっている。化石燃料を燃やすと、重さにして約３倍の二酸化炭素が発生する。それが大気中に貯まるのであるが、大気中の二酸化炭素には温室効果作用と言って、太陽の熱によって暖まった大地の熱が大気圏外、宇宙空間へ散逸するのを妨げる働きがある。そのため二酸化炭素の濃度が上がるとその働きも強くなり、大気中に熱が溜まって大気の温度が上昇し、気温が上がる。これが温暖化であるが、これは地球規模で起きる現象である。

温暖化が進むと、世界の海洋の水温も上昇し、海面から大量の水蒸気が発生、これが雨や雪となって地上に降り注ぐため、世界規模での降水量が増加し、大洪水、はんらん、水没、斜面崩壊などが発生する。さらに、気流や海流の流れが不安定化し、天候がきわめて不安定となり、極端気象現象といわれる予想しがたい気象現象が発生する。それは予測不能なあるいはこれまでに例を見なかった激しい気象現象で、季節外れの極端な高温、異常乾燥、突然の竜巻、巨大あるいは迷走台風、ゲリラ豪雨、爆弾低気圧、ダウンバースト、極端な寒波や豪雪など、予測不能な状態で天候が荒れ狂うのである。昨年から今年にかけて、まさにこうした”極端気象現象”が日本ばかりでなく地球規模で発生し、世界各地で大災害が発生している。

そんな災害を防ぐため、いま世界中で二酸化炭素の発生を減らそうと努力している。そのためソフトエネルギーや再生可能エネルギーの開発に社会は力を入れている。もちろん、それは大変結構なことだ。だが一度増えた二酸化炭素を減らすことはきわめて難しい。それに、仮に今、二酸化炭素の発生量をゼロにしたとしても、すでに大気中に貯まっている二酸化炭素はそう簡単には減少しない。そのうえ、現在大気中に蓄積された二酸化炭素によって、今後数百年以上にわたって温暖化作用はいっそう高まっていくものと予測されている。

ＩＰＣＣという国際機関の予測によると、現在の二酸化炭素濃度が続くと、今世紀末までに世界の平均気温は約３℃高くなるだろうとされる。気温が3℃上がったとき、私たちはいきていけるのだろうか。まして30世紀というと、これから1000年後のことである。もしこのまま気温が上昇するとしたら、単純に計算すると、30世紀には、世界の気温は現在よりも30℃も高くなっていることになる。

年平均気温が30℃上がるということは、たとえば東京の年平均気温が46℃、東京の最暖月8月の月平均気温が57℃になるということである。それだけではない。最近、東京でも日最高気温が35℃を越える日が多い。そんな状態で気温が30度も上がると日最高気温は60～70℃以上にもなりうるということではないだろうか。そのころ、世界の主要大都市のほとんどは年平均気温が45℃以上、最暖月の平均気温は60℃を越えることにもなっているだろう。この状態で現状のまま都市機能を存続していけるのだろうか。人々は、地下壕にでも潜って生活をしなければならなくなるだろうが、だがこれは、きわめて非現実的なことである。

将来的に人々は、まさに北極海沿岸部にでも集中移住して、低緯度中緯度地域は無人地域になってしまうのだろう。この状況で、ここまで繁栄を極めた人類は、はたして存続できるのだろうか。人類絶滅のシナリオＩである。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（2018年8月10日）

なだらかな台地を合流しながら流れ下る氷河。（カナダ、エレズミア島にて）

シナリオⅡ．　化学物質による環境汚染

私たち人類は、科学の進歩にともなって、本来自然界には存在しなかったさまざまな人工的な化学物質を作り出して大量に使用している。たとえばプラスチックはその典型例である。石油を原料として人工的に作られた合成樹脂であるが、加工が簡単であり、しかも強度や可塑性に富み、いまやペットボトルのようなものから、あらゆる日用品あるいは建築資材等として到るところで使われている。

ところが、その廃棄物が今やゴミとして大きな問題になっている。プラスチックは、たとえば天然の有機物のようには簡単には分解せず、環境中に拡散し汚染の原因となっている。ことに最近は、世界中の海中にプラスチックが漂って海洋汚染を引き起こしており、また海岸に大量に打ち上げられて海岸を汚し、また海生動物の体内からは消化できなかったプラスチックがしばしば団塊として見つかり問題になっている。さらにマイクロプラスチックスと呼ばれるプラスチックの微粒子は、いまや陸海を問わず世界中に広がり、私たちもしらずしらず体内に取り込んでおり、生物の生理機能に混乱をきたす状態になっている。

そればかりではない。人間はまた、本来自然界にはないさまざまな化学物質を作っては、農薬、肥料、除草剤、殺虫剤、清浄剤、その他、いろんなところで日常的に使用してきた。これらの化学物質の中には、動物体内に取り込まれると、気づかないレベルだが動物の生理機能をかく乱させるものがあることが知られている。じっさい1960年代以降、世界各地で野生動物の形態異常、行動異常が報告されている。たとえばペニスが委縮したワニ類、雌に関心を示さない海鳥の雄たち、本来雄なのだが雄としての機能を示さず雌化した淡水魚等々。その原因として、人工的な化学物質の中には動物の性ホルモンに似た構造を示す物質があって、それらが動物体内で本来のホルモンと間違われ、生理機能を混乱させることが明らかになった。

かつて1960年代、ベトナム戦争時、アメリカはベトコンゲリラが潜んでいるからという理由でジャングルを枯らすために、大量の枯葉剤（2-4-Ｄ）を米軍機からベトナムのジャングルに散布したことがあった。ところが、これら枯葉剤の中にはダイオキシンという化学物質が含まれていて、環境中に拡散して動物の体内に取り込まれると、さまざまな生理的障害を引き起こすもととなった。そのためベトナムで枯葉剤が散布された地域では、生まれつき障害をもった子供が異常な高率で生まれ、あるいは大量に死産、流産し、大きな問題となったことがある。

本来、自然界にはなかったさまざまな人工化学物質が、いまや地球規模で広く環境中に拡散している。しかもその濃度は将来ますます高くなっていくだろうし、種類も増えていくだろう。私たち人類は、しらずしらずのうちにこれらの物質に冒され、正常な生理機能がかく乱されて、健全な生活を維持し続けていけなくなるのではないだろうか。その結果、人類は次第に生理機能が衰え、いずれ滅びて行くだろう。これが人類絶滅のシナリオⅡである。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（2018年8月13日）

カナディアン・ロッキーのさわやかな高山草地　 (alpine meadow)

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シナリオIII　　生殖意欲の減退

　今からおよそ30万年前、アフリカ中部に出現したヒト (Homo sapiens) は、他の動物に比べて格段に発達した知的能力を駆使して地球上に繁栄を極めた。人類は、発祥の地アフリカから今や全世界へと広がり、人口も急速に増加。今から約1万年前、世界の人口は500万に達し、その後も人口は着実に増加、産業革命後の19世紀初頭にはおよそ9億に達した。その後も人口は指数関数的に増加、現在は80億に近づいている。

たしかに生物の増加曲線は、その生物が順調に増加している場合、指数関数的な増加を示す。かつて、「産めよ、増やせよ、地に満てよ」と、子供を産むことは人類繁栄の鍵とされた。どこの家庭でも子供を増やそうとし、子供の数を比べ合い、競い合う風潮があった。子だくさんの家庭は社会からむしろ高く評価された。そのような背景のもとで、世界の人口は右肩上がりで増加していった。世界の人口増加率は1960年代に史上最高に達し、年増加率は２％を超えた。

　ところが、21世紀に入ったあたりから、世界の人口増加率はやや低迷傾向を示し始めた。現在、世界の人口増加率は1％程度となり、人口は伸び悩み始めている。この傾向は、いわゆる先進国においてとくに顕著で、先進国では増加率１％以下となっているばかりか、日本を含む先進国の中には増加率がマイナスになっている所も多い。つまり先進国の多くでは、すでに人口は減少状態に入っているのである。

じっさい最近日本でも、子供の数が二人以下という家庭が多い。つまり一人の女性が一生に産む子供の数つまり合計特殊出生率が日本では1.5人程度となっており、明らかに将来の人口減少を示唆している。かつて子供の数を競い合い誇ったころのことは、今では昔話となっている。

　おそらく将来的には、30世紀に向かって結婚を望まない若者が、世界的にいっそう増えていくのではないだろうか。ことに男性は、結婚という生活形態に興味を失い、結婚なんて自分の自由な生き方を拘束するだけでなんの利得があるのだろうと思い始めている。また女性も、かつてのように結婚をして子供を作り育てることに興味を失ってきているものが増えるのではないだろうか。結婚なんて自由な生き方を拘束するもので、子供を作りたければ結婚しなくても産めばいいんだと思う女性が増えてきているだろう。

　それだけではない。遠からぬ将来、結婚したがらない若者が増えるばかりでなく、そもそも異性に興味をもたない若者が増えるのではないだろうか。性欲も減退し、なんで人間はわざわざ結婚なんて面倒なことをして子供を作らなければならないのか、と多くの若者は思いはじめている。その頃、多くの女性も、本能として妊娠して子供を産むことには関心があっても、その後の子供の養育のことを考えると、つい二の足を踏んでしまう。

　こうして将来、結婚はおろか異性に関心を示さない若者が増え、社会は基本的に独身者の集まりから成っていることになるのではないだろうか。

　ただし、その背景には、シナリオII でも述べたように、もしかしたら化学汚染によりホルモン・バランスが崩れて生殖機能に異変が起きていることも関わっているかもしれない。

　こうして将来的に、結婚どころか異性にも興味をもたず、子を成さない若者が増えて、人口は急速に減少してゆき、ある閾値を超えたところで一挙に人口はゼロに向かって突っ走る状況になるのではないだろうか。人類絶滅のシナリオIIIである。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（2018年8月17日）

立山連峰の浄土山から薬師岳、槍ヶ岳を望む。

シナリオⅣ．　　人工知能（AI）による支配

　最近、AI（人工知能）の進歩は著しい。AIは社会のいたるところで活躍している。それに、AIも次第に賢くなり、人の言葉を理解し、それに対して適切な返事が出来るまでになり、人と対等に付き合えるまでに賢くなっている。

AIは膨大な量のデータを管理、分析、処理し、さまざまな結論を出すのに長けている。その点では、とても私たち生身の人間の及ぶところではない。将来的に人間は、AI の助けなしには何事も出来ないまでになってしまっているのではないだろうか。

いっぽう将来、AIどうしのコミュニケーション力も発達して、AIどうしで意思疎通をはかり、いわば“複雑な相談や議論”を自分たちどうしでやって物事を判断し決定するようになるだろう。そうなると、その能力たるやもはや人間の及ぶところではない。そのうち財物の生産から社会の運営に到るまでAIは直接的に関与して、というよりは人間に代わって世の中を取り仕切るようになるのではないだろうか。つまりAIが政治まで関与し支配するようになるだろう。

さらに将来的にAIは、自己複製能力を獲得、AIがみずからAIを次々と生産するようになるだろう。するとAIの社会化が起きて、AIが完全に社会の運営を仕切るようになる。そればかりか、そのうち人間は、逆にAIに指示されて行動しなければならなくなるだろう。つまり人間は、まさにAIの奴隷としてしか生きるしかない状態となっており、このときAIの判断や指示に抵抗したり服従しなかったりすると、即座にAIによって人間は拘束され、極端な場合、死をも含む形で排除されてしまうのではないだろうか。たとえば人間が、気に入らないAIを破壊しようとしたとき、AIはただちに強大な電磁波でその人の意識を失わせ、動けなくさせてしまう。

そのような状況で、私たち生身の人間は何をしたらよいのだろう。AIの指示に従って行動している状態では、AIの進歩にともなって私たち人間は次第に社会での役割を失い、結局はAIの指示で仕事をするか、あるいは社会の枠から離れて、たとえば離島のような場所で、小さな趣味の世界にしか自分を置く場を見出せなくなっていくのではないだろうか。そのうち私たちは人間としての尊厳を失い、ひとときあれほど繁栄した人類は、やがて原始人のように森の中でひそやかに暮らすか、あるいは天井裏の鼠のようにコソコソとしか行動できなくなるのではないだろうか。

AIが地球を支配し、壮大なAI社会を作り上げていくいっぽうで、人間は次第に自らの存在価値を失い、生きる意欲や繁殖力も減退して、ついには地球から姿を消してしまうのではないだろうか。　これが人類絶滅のシナリオIVである。

　　　　　　　　　　　　　　　　（2018年8月23日）

富山県城端、高清水山から白山方面を望む　　　（右手の花はミツバツツジ）

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シナリオV．　　巨大隕石の衝突

宇宙では、小惑星や隕石などの巨大漂流物体の衝突は日常茶飯事のことである。例えば地球の衛星、月の表面は、まさにアバタのように大小さまざまなクレーターすなわち衝突痕が認められる。地球でも、地球の歴史の過程の中でおびただしい数の隕石との衝突を経験しているだろう。だが、地球には大気があり、液体の水があり、生物が存在するため、落下痕が出来ても、いずれそれは崩壊し変形し衝突時の形をとどめているものはほとんどない。しかし、それでも巨大隕石の落下痕と思われる地形は、世界各地で見つかっている。

例えば、今から20億年前に出来たと思われる南アフリカのブレドフォードドーム・クレーター、2億5000万年前に出来たマクガニアン・クレーター（カナダ）、6500万年前に出来たチクシュルーブ・クレーター（メキシコ）。140万年前に出来たニューケベック・クレーター（カナダ）、20万年前に出来たツウェイン・クレーター（プレトリア）。そして今もなお形が良く残っているものは、3万年前に出来たバリンジャー・クレーター（アメリカ）等々だろう。

これらの中で、地球史上もっと大きな影響を残したものはメキシコ、ユカタン半島にあるチクシュルーブ・クレーターだ。いまからおよそ6500万年前、直径１０㎞を超える巨大な小惑星が、現在のユカタン半島に落下した。そのときマグニチュード10を超える巨大振動が発生し、そこには直径１８０㎞を超えるクレーターが生じた。その直後、想像を絶する強大な爆風によって大地は舞い上がり、灰塵は空を厚く覆い世界は暗黒と化した。やがて灰塵は地球全体に広がり、地球には昼夜の区別なく暗黒の時間が続いた。

数か月も経ったことだろうか。灰塵は地面に降り注ぎ、少しずつ空に明るさが戻ってきた。しかし、その時点で地球の生態系は大きく変わっていた。太陽からの光が長期間にわたって遮られたため、多くの植物は枯死し、またそれを餌としていた動物も死滅、生態系の様相がすっかり変わってしまった。

その影響をもろに受けたのが、それまで地上を我がもの顔に闊歩していた巨大恐竜を含む爬虫類だった。温暖な気候に適応していた爬虫類は、暗くそして寒く、食料もなくなったとき、それに耐えられず次第に死に絶えていった。恐竜類だけではない。それまで、これも我がもの顔に生い茂っていた巨大な木生シダ植物類も寒さと暗さに耐えられず、姿を消して行った。

小惑星衝突の混乱がようやく鎮静化したころ、これまでの巨大爬虫類に代わって、それまで隠れるように細々と生きていた小さな哺乳類が、わが世を得たりとばかり繁栄に転じ、植物では、これもまたひっそりと生えていた種子植物が地球の覇者に代わっていた。こうして、6500万年前の隕石大衝突が地球の環境、生物相、生態系を大きく変え、それまでの中生代は新生代へと変ったのである。まさに時代を画す大事件、大変化であった。

　このように地球史上、巨大隕石の衝突は避けようもなく起きる現象で、やがて将来にも同じようなことが起きるものと思われる。将来、地球への衝突が懸念されている小惑星として、「1950DA」と名付けられた直径1.1 kmの隕石が知られており、軌道計算によると2880年3月16日に、確立としてはさほど高くはないとしても、地球に落下衝突するのではないかとされている。

もしこれが現実となると、おそらく地球表面には想像を絶する大混乱が起きて、私たち人類はここで終焉を迎えることになるだろう。そうしてここで地球の時代は大きく変るだろう。地球史的に見ると、これまでの時代は、「始生大」→「原生代」→「古生代」→「中生代」→「新生代」と変遷してきた。私たちはいま、新生代第四紀に生きている。ところが小惑星が衝突し、地球環境や生物相が一変するとここで新生代は終わる。そうして次に来る時代は、“未生代”とでもいうべき時代だろうか。これが、人類絶滅のシナリオVである。

　　　　　　　　　　　　　　（2018年8月31日）